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「道草」夏目漱石

夏目漱石「道草」読了


吾輩は猫である」執筆時の頃を描いた珍しく私小説的な内容です。いやーなかなか俗世で生きていくには大変な方です漱石先生。でも僭越ながら読んでて気持ちが解ります。ウィキペディアには「漱石の作品は世俗を忘れ、人生をゆったりと眺めようとする低徊趣味(漱石の造語)的要素が強く」とありますが、そういう人が世知辛い世間で生きていくのは辛いだろうなというのがこの小説からひしひしと伝わってきます。それに共感してしまう(^^)


しかしそこは漱石先生。自分が正しく周りが間違っているという様な短絡的な書き方はしていません。人への視線以上に自分にも厳しく冷静な分析で綴られています。
この全てから一歩離れた視点で自分を含む人間たちを描く冷静さ(漱石先生の言葉でいう「非人情」)と知性の揺らがなさが漱石先生を読む醍醐味かなあと思いました。


さて次はなにを読もう(^^)