タイトル通りです。タンノイStirling/SEをモノラルで使うことにしました。
そもそもは病気をしてからやたら音楽を聴くと疲れるようになったことが始まりです。
音楽自体を今の気力では受け止められないのかなと思ってましたが、特にボーカル入りの曲が聴いてられないという現象を不思議に思ってました。
ステレオというのは人の耳だか脳内だかの錯覚をうまく利用した仕組なんだと思いますが(多分)、その効果でスピーカーと全然関係ないところから音が聴こえたり、ボーカルもセンターの空間にホログラフィックに現れたりモノラルとは別次元の世界が広がったりします(きちんとセッティングすれば)。世の中がモノからあっという間にステレオに移行したのも当然でしょう。
ぼくも長い間そういう音を追及してきました。オーディオ好きが良く言う「スピーカーが消えた音」というやつです。
ところが病気以来その錯覚サウンドが苦痛になってしまったようなのです。
そういえばVRゴーグルで普通の2次元の映画を見たときもやたら疲れました。VRゴーグルで通常の映画を見ると狭い部屋ではなく、まるで映画館の大スクリーンで見てるような体験ができます。「これは良い」と思ってゴーグル鑑賞を暫くしてたのですが見終わった後の疲労が通常のモニターで見るより相当激しいと気付きやめてしまいました。
僕の場合精神的な病気だったのでで、ようするに脳のなかが健康ではなかったのでしょう。今も完治してるわけではないです。そしてステレオにしろVRにしろそれなりに(健康な人には問題ない程度に)脳に負担がかかる可能性はあるはずです。医学的根拠は多分ないですが、そういう経緯でステレオが苦手になったのでは、と。
そこでモノラルです。
スピーカー一本というのはそういう面では実に安心して聴けます。目に見える物体から音が出てるというのが視覚的にも聴覚的にも確認できる。
音はともかく、今の自分には合ってるのではないかと思ったんですが音楽を聴こうという意欲がなくなってたこともあってそのままの状態にしてました。
ですが、今日暇だったのとわりと体調もよかったので思う腰を上げて「モノラル計画」実行してみました。うちのアンプはモノにできるスイッチが付いてるのでそこは問題なし。問題はスピーカーの置き場所です。普通に考えたらセンターに1台置くんでしょうが部屋の配置的に無理。重たいStirling/SEを移動させるのも気力もない。
結局SP位置はほとんど変えず右SPのみ鳴らすことにしました。Stirling/SEは部屋の長辺に間隔広めに置いてたので、位置を変えずに右だけ鳴らすというのはリスポジからみると視覚的に相当不自然です。
結果ですが。
・低温の量感が増えた。これはなんとなく予想してました。
・音場がセンター付近まで広がってくる。これは意外。ボーカルはSPのトコで鳴ってま すがバックの音は結構ひろがりがあります。
・とにかく安心して聴ける。精神的に楽。そりゃそうです(笑)そのためのモノラル計 画なんですから。
いろんなジャンルを聴きましたが、近年ぼくが、定位とか広がり奥行きとか、解像度とか現代オーディオ的な要素に興味がなくなってたせいもあって問題なく聴けます。勿論ステレオで聴いてた時よりクオリティがアップするわけないんですが、背に腹は代えられぬというか体調と相談しての変更ですし、予想よりずっといい感じで好みの音で鳴ってるので今回は成功かなと思います。
それにしてもこの「SPがある場所から音が出てる」安心感。オーディオ的には問題外かもですが、そのほうが「自然」と思ってみたりして。負け惜しみか(笑)