aniの「My Favorite Music」

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CDの再販制度の実態

 

10数年間ほど小さな個人経営のCD店をやってました。3年ほど前に閉めたんですが再販制度について実態が知られてないのでは無いかと思い自分の経験を書いてみることにしました。
自分の店での話なので他店(大きなチェーン店とか)についてはわかりません。

ご存知の方も多いと思いますが本やCDは再販制度という仕組みで売られています。再販制度商品は定価が決まっているので店側で値引きなど価格を変えられません。もうひとつ特徴的なのは返品できるということです。そういう仕組が再販制度なので当然そういう事になってるんだろうと思ってました。店をやるまでは。
以下実情を箇条書きにします。

・実質返品はできない。買取とほぼ一緒
・全くできない訳では無い。が、返品できる商品の金額は前の月にどれくらいそのレコード会社のCDを仕入れたかによって決められる。
・どういう割合で決めてるのか分からないが(多分レコード会社によっても違う)5万くらい仕入れたら1000円返品していいよくらいの感覚。
・なので「7月度返品額200円」とかいう通知が来ることもしょっちゅう。そんな値段のCDあるか?勿論返品ゼロのことが殆ど。
・1000円のシングル4枚仕入れたとして利益は約1枚330円ほど。3枚売れても1枚売れ残ったらほぼ利益は無い。
・なので新譜の仕入れは慎重になる。ごく一部の絶対売れると思うものしか発注出来ない。しかも最小限の数
・そうなると新譜の発売日なのに全然モノが店頭に並んでいないという状況になる。品揃えも悪くなる
・当然お客さんも減る。
・しかし売れ残りを値引きして販売することが出来ない。なぜなら再販制度だから。返品できないのに再販制度

こんなのでやっていけるわけないです。
途中からは殆ど新譜は仕入れないで予約とか注文のみでやってました。注文に関してはレコード会社は優れていて発注して早ければ2日、遅くても3日で届くので「それなら注文しようかな」とお客さんが思ってくれることが多くそれでなんとかやってました。
本は未だに注文してから届くのに1ヶ月近くかかるのがざらですからね。

CDが売れない時代になったと言われて随分経ちますが、それでも他の国に比べると日本は売れてる方です。好きなだけ返品させてくれとは言いませんがもう少しレコード会社も小売店のことを考えてくれたらまだ店を続けられていたかもしれません。